選択的夫婦別姓を求める地方議会「意見書」の“改ざん”を告発する

選択的夫婦別姓を求める地方議会「意見書」の“改ざん”を告発する ―各議会への「公開質問状」をすべて掲載―

 内閣府が平成30年(2018)2月に公表した世論調査「家族の法制に関する世論調査」のデータが、選択的夫婦別姓推進派によって改変され、その数字が地方議会の多くの意見書に掲載されていることがわかりました。令和元年(2019年4月以降)から令和3年(2021年)に限定しても、100近い地方議会(町村議会を除く)の意見書が「結婚前の旧姓を通称使用するための法制化」に賛成した人を、「選択的夫婦別姓」に賛成または容認したものとしてカウントしているのです。

 政経情報研究会(東京・中央区)は4月8日までの回答期限を設けた上で、各議会にそのことを糾す公開質問状を送りました。選択的夫婦別姓の要否に関係なく、意見書は地方自治法にもとづいて議会の総意を示す公的文書であり、その根拠となるデータの扱いについては恣意的な操作やミスは許されないとの考えによるものです。

内閣府世論調査結果の「通称使用法制化」は同姓維持派

 まずは、内閣府の世論調査とはどういうものかを以下に紹介します。(ア)(イ)(ウ)は選択肢で、各数字は回答者の割合です。

(ア) 婚姻をする以上、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきであり、現在の法律を改める必要はない29.3%
(イ)夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望している場合には、夫婦がそれぞれ婚姻前の名字(姓)を名乗ることができるように法律を改めてもかまわない42.5%
(ウ)夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望していても、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだが、婚姻によって名字(姓)を改めた人が婚姻前の名字(姓)を通称としてどこでも使えるように法律を改めることについてはかまわない24.4%

 この中の選択肢(ウ)は、読んで字のごとく「夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべき」とした上で「婚姻前の姓の通称使用の法制化」を求める考え方です。言い換えると、通称使用の法制化を求める「同姓維持派」です。ですから、同姓維持に賛成しているのは(ア)と(ウ)を足した53.7%であって、過半数を占めているとも言えます。その通称使用については、既に住民票や運転免許証、マイナンバーカードなどほとんどの公的文書で認められており、多くの職場でも通称使用は可能となっています。次の段階としてこれを法律で規定し、まだ通称使用を認めていない一部の民間会社や資格証明書などについても、希望があれば認めるよう義務付けるという考えがあるのです。とりわけ、結婚して男性の姓に変えるケースが多い女性にとっては、日常生活での利便性がより向上することが期待されています。まだ国会に提出はされていませんが、既に法案は準備されています。

選択的夫婦別姓推進派が主張する「賛成・容認66.9%」の嘘

ところが、このHPの一覧に掲載した議会の意見書には、表現は微妙に異なりはしますが、選択的夫婦別姓制度の導入や導入に向けた国会論議を求める根拠として次のような趣旨の表記が掲載されています。

「夫婦同姓も夫婦別姓も選べる選択的夫婦別氏(姓)を導入するための法改正に賛成・容認と答えた国民は66.9%となり、反対の29.3%を大きく上回ったことが明らかになった」

「夫婦同姓も夫婦別姓も選ぶことができる選択的夫婦別姓制度の導入に対して、42.5%が賛成し、条件付き賛成も含むと66.9%となり、反対の29.3%を大きく上回る」

この66.9%とは一体、何のことでしょうか。世論調査のどの選択肢にも、そんな数字は書いてありません。それもそのはず、選択的夫婦別姓導入に賛成の42.5%に、「通称使用法制化」の24.4%を加えて66.9%にしているのです。先に述べたように、「通称使用法制化」に賛成した人は、その前提として「夫婦は同じ姓を名乗るべき」と答えているのです。つまり、基本は同姓維持なのです。それなのに、これを、「選択的夫婦別姓制度導入に賛成・容認」に加えているのですから、“改ざん”と言われても仕方がないと思います。

元法務省参事官も「通称使用は夫婦別姓に反対」と明言

 今年(令和4年)1月25日、東京・千代田区の「日本記者クラブ」で、「選択的夫婦別姓1996年答申の意義」と題する小池信行弁護士による会見(講演及び記者との問答)がありました。小池氏は法務省が選択的夫婦別姓について答申した当時の民事局参事官で、裁判官の経験もあります。その中で小池氏は、地方議会の意見書で、世論調査で夫婦同姓を前提とした「通称使用の法制化」の選択肢を選んだ人が、「選択的夫婦別姓に賛成・容認」に組み込まれていることについて訊かれ、「通称使用は夫婦別姓を認める方ほうではないですね。むしろ反対ではないかと理解します」と明確に答えています。小池氏は法律家としての良心に従って正直に語っているのですが、意見書案に何の抵抗も示さずに賛成した議員の皆さんは、これに何と答えるのでしょうか。

どうして、選挙で選ばれた、いわゆる「選良」の集まりである議会で、こうした間違ったデータを載せた意見書が可決されてしまうのでしょうか。66.9%が賛成というデータに疑問は持っていたものの会派のしがらみで賛成に回ることを余儀なくされたり、「意見書は議論の促進を求めるのが目的だから」という説明を受けて、実際に内閣府世論調査の結果を読みもしないで賛成したという情けないケースもあったようです。

“改ざん”意見書の3分の2は反対を押し切った多数派による可決

一覧表に示した98自治体の意見書のうち、全会一致で可決したのは実は35自治体に過ぎず、残る63議会は賛成多数での可決です。言い換えると、3分の2の議会では意見書に反対した会派(議員)があったということです。
例えば、意見書の採決が相次いだ令和3年9月、「選択的夫婦別姓制度の法制化に向けた議論を求める意見書」を可決した東京都小金井市議会の場合も、意見書案に「選択的夫婦別姓導入に賛成・容認と答えた国民は66.9%」などと記載されていたことについて、保守系会派の女性議員が、反対討論で数字の不当性を指摘しましたが無視され、意見書案は原案どおり賛成多数で可決されてしまいました。

その一方で、世論調査のデータが誤っているのを同僚議員に指摘され、採決で反対に回る議員が増えたために意見書案が否決されたケースもあったと聞いています。

中部地方の市議会「意見書のデータ解釈と表記は誤解を招く」

 議会の意見書は地方自治法第九十九条にもとづいて議会の「総意」として出される極めて重いものです。その意見書の根拠ともなっている数字に誤りがあることは許されないはずです。

令和3年9月に意見書を可決した中部地方のある市議会は今回の公開質問状に対し3月初め、次のような趣旨の文書を送ってきています。

ホームページ公開後に「解釈が誤っている」との指摘があり、11月の議会運営委員会で意見書を再検討した。「こうした数字は根拠を捉え、調べてから出すべき」との意見も出た。議運では内閣府のアンケート結果のデータ解釈と表記について「誤解を招く」との確認がなされたが、意見書の本旨が「法制化に向けた議論を行うことを求める」ものであるという理由で意見書の訂正、再提出は行わないという結果になった―――。

なお、この文書は、当方とは関係のない昨秋の第三者からの指摘に対する議会としての対処であり、「解釈が誤っている」との指摘が具体的にどのような内容であったかも知る由がありません。従って、今回の公開質問状に対する回答とは到底認められないものであることを議会事務局に伝えてあります。


公開質問状送付一覧

*同一議会が二度可決した同種の意見書は直近を対象

令和元年
1〒302‐0021 茨城県取手市寺田5139 取手市議会事務局御中 市議会議長殿PDFPDF
2〒189‐8501 東京都東村山市本町1-2-3 東村山市議会事務局御中 市議会議長殿PDFPDF
3〒182‐0026 東京都調布市小島町2-35-1 調布市議会事務局御中 市議会議長殿PDF
4〒206‐0011 東京都多摩市関戸6-12-1 多摩市議会事務局御中 市議会議長殿PDF
5〒301‐8611 茨城県龍ヶ崎市3710 龍ヶ崎市議会事務局御中 市議会議長殿PDFPDF
6〒187‐8701 東京都小平市小川町2-1333 小平市議会事務局御中 市議会議長殿PDFPDF
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12〒208‐8501 東京都武蔵村山市本町1-1-1 武蔵村山市議会事務局御中 市議会議長殿PDFPDF
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令和2年
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23〒356‐8501 埼玉県ふじみ野市福岡1-1-1 ふじみ野市議会事務局御中 市議会議長殿PDF
24〒314‐8655 茨城県鹿嶋市大字平井1187ー1 鹿嶋市議会事務局御中 市議会議長殿PDF
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29〒353‐8501 埼玉県志木市中宗岡1-1-1 志木市議会事務局御中 市議会議長殿PDFPDF
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令和3年
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36〒960‐8601 福島県福島市五老内町3-1 福島市議会事務局御中 市議会議長殿PDF
37〒891‐2192 鹿児島県垂水市上町114 垂水市議会事務局御中 市議会議長殿PDF
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40〒387‐8511 長野県千曲市坑瀬下2-1 千曲市議会事務局御中 市議会議長殿PDF
41〒668‐8666 兵庫県豊岡市中央町2-4 豊岡市議会事務局御中 市議会議長殿PDFPDF
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43〒026‐8686 岩手県釜石市只越町3-9-13 釜石市議会事務局御中 市議会議長殿PDF
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46〒053-8722 北海道苫小牧市旭町4-5-6 苫小牧市議会事務局御中 市議会議長殿PDFPDF
47〒085‐8505 北海道釧路市黒金町7-5 釧路市議会事務局御中 市議会議長殿PDF
48〒272‐8501 千葉県市川市八幡1-1-1 市川市議会事務局御中 市議会議長殿PDFPDF
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68〒340‐8550 埼玉県草加市高砂1-1-1 草加市議会事務局御中 市議会議長殿PDFPDF
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82〒124‐8555 東京都葛飾区立石5-13-1  葛飾区議会事務局御中 区議会議長殿PDFPDF
83〒580‐8501 大阪府松原市阿保1-1-1 松原市議会事務局御中 市議会議長殿PDFPDF
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85〒847‐8511 佐賀県唐津市西城内1-1 唐津市議会事務局御中 市議会議長殿PDF
86〒112‐8555 東京都文京区春日1-16-21 文京区議会事務局御中 区議会議長殿PDFPDFPDF
87〒061‐1498 北海道恵庭市京町1番地  恵庭市議会事務局御中 市議会議長殿PDFPDF
88〒160‐8484 東京都新宿区歌舞伎町1-4-1  新宿区議会事務局御中 区議会議長殿PDFPDF
89〒132‐8501 東京都江戸川区中央1-4-1  江戸川区議会事務局御中 区議会議長殿PDFPDF
90〒566‐0022 大阪府摂津市三島1-1-1  摂津市議会事務局御中 市議会議長殿 PDFPDF
91〒383‐8614 長野県中野市三好町1-3-19  中野市議会事務局御中 市議会議長殿PDF
92〒571‐8585 大阪府門真市中町1-1 門真市議会事務局御中 市議会議長殿PDF
93〒020‐0654 岩手県滝沢市中鵜飼55  滝沢市議会事務局御中 市議会議長殿PDFPDF
94〒024‐8501 岩手県北上市芳町1-1 北上市議会事務局御中 市議会議長殿PDFPDF
95〒061‐1192 北海道北広島市中央4-2-1 北広島市議会事務局御中 市議会議長殿PDF
96〒590‐0592 大阪府泉南市樽井1-1-1 泉南市議会事務局御中 市議会議長殿PDFPDF
97〒181‐0014 東京都三鷹市野崎1-1-1 三鷹市議会事務局御中 市議会議長殿PDFPDF
98〒503‐0695 岐阜県海津市海津町高須515  海津市議会事務局御中 市議会議長殿PDF

参考資料

令和4年1月25日、日本記者クラブ 小池信行氏(元法務省民事局参事官)講演・記者会見


夫婦の姓に関する意見書は「選択的夫婦別姓導入」を求める意見書だけではありません。
その代表例が岡山県議会(令和3年3月)と熊本県議会(令和3年7月)の意見書です。前者は「選択的夫婦別姓制度の法制化に反対する意見書」、後者は「夫婦・親子同氏を維持し、旧姓の通称使用の拡充を求める意見書」として、国会や政府に提出されました。

岡山県議会 選択的夫婦別姓制度の法制化に反対する意見書

家族は社会の基盤である。家族が同じ姓を名乗る夫婦同姓制度は、家族の絆や一体感の維持、子供の福祉に資するものであり、社会の維持にとっても極めて重要な制度である。
夫婦同姓制度を規定した民法第750条については、平成27年に最高裁が合憲と判断しており、「氏(姓)は、家族の呼称としての意義があるところ、現行の民法の下においても、家族は社会の自然かつ基礎的な集団単位と捉えられ、その呼称を一つに定めることには合理性が認められる」としている。
このところ、選択的夫婦別姓制度の導入を巡る議論が見られる。夫婦別姓制度は、家族の絆や一体感を危うくしてしまうおそれがあるばかりか、親子で異なる姓を名乗ることは、子供の福祉にとっても悪影響を及ぼすことが強く懸念される。
選択制だからよいのではとの意見も聞かれるが、夫婦別姓を認めると、社会の構成要素である家族の呼称としての姓の意義が失われることになる。また、結婚による改姓の不利益を指摘する声もあるが、結婚後も旧姓を通称使用することで解決することが可能である。
最高裁も、そうした不利益は「氏(姓)の通称使用が広まることにより一定程度は緩和され得る」と指摘しており、旧姓の通称使用は既に一般化しているとも言える。少なくとも、選択的夫婦別姓制度について、国民の中に広くコンセンサスができていない現状で、拙速に制度を導入すれば、我が国の将来に大きな禍根を残しかねない。
よって、国においては、家族の絆や一体感の維持と子供の健全育成を願い、揺るぎない日本社会を次世代に継承するため、選択的夫婦別姓を認める民法の改正を行わないよう強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

熊本県議会 夫婦・親子同氏を維持し、旧姓の通称使用の拡充を求める意見書

近年、夫婦が別の姓を名乗ることもできる、選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正の議論がある。夫婦別姓は子供が生まれれば、必然的に親子の間で姓が異なる親子別姓をもたらし、ひいては兄弟別姓をもたらす結果を招き、社会の基盤である家族の在り方に重大な問題を引き起こしかねない。平成 29 年の内閣府の世論調査では、別姓は子供にとって好ましくないという声は 62.6%にも上っている。
また、同調査では、同姓(通称使用含む)を名乗るのが良いという考え方が 53.7%、別姓導入賛成は 42.5%と意見が分かれており、しかも、調査全体の割合から見れば自ら別姓を積極的に希望する者は一割にも満たず、夫婦別姓の導入は、国民的世論の賛成を得ているとは言えない。
夫婦の姓の在り方については、昨年 12 月の政府の「第5次男女共同参画基本計画」の策定にあたっても議論となり、政府の結論は「戸籍制度と一体となった夫婦同氏制度の歴史を踏まえ、また家族の一体感、子供への影響や最善の利益を考える視点も十分に考慮」するとされ、また「婚姻により改姓した人が不便さや不利益を感じることのないよう……引き続き旧姓の通称使用の拡大やその周知に取り組む」と明記された。
また、今年 6 月 23 日に、最高裁は「社会の変化や国民の意識の変化などを踏まえても、2015 年の合憲判断を変更すべきものとは認められない」と示した。
よって、国におかれては、第5次基本計画で定められたように家族の一体感、子供への影響を考慮し、夫婦・親子同氏制度を維持しつつ、旧姓の通称使用の更なる拡充をはかり、社会生活上の不利益を解消するため、環境を整備されるよう強く要望する。
以上、地方自治法第 99 条の規定により意見書を提出する。

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